ドイツのベルリンを本拠とするフードデリバリー企業「デリバリーヒーロー」は、日本などのアジア圏では「フードパンダ」のブランド名でサービスを展開中です。
ギグエコノミー・ワーカーに関する議論
同社のCEOのニクラス・エストベリ(Niklas Östberg)は先日、ギグエコノミーで働く人々の地位をめぐる議論には、ライダー(配達員)たちの視点が欠けていると指摘しました。
ギグエコノミー・ワーカーの雇用形態に関しては、欧州を中心にさまざまな市場で議論が活発化しています。
スペインや英国では、デリバリー企業に福利厚生や伝統的な雇用形態の提供を命じる裁判所の判決が出され、事業モデルの持続可能性に疑問が投げかけられている。
「現在の議論には、ライダーたちの視点からのアプローチが欠けている。ライダーたちに自由な選択肢を与えることが必要だ」と、CEOのエストベリは述べました。
エストベリによると、ノルウェーではライダーが企業と雇用や福利厚生に関する契約を交渉したり、フリーランスのままでいることを選択できるモデルが存在します。
その結果、柔軟な働き方を求めるライダーは、フリーランスモデルを選択する場合が多いといいます。
「今日、私たちができることはたくさんあるが、法律的にできないことも数多く存在する。それは、年金や社会保障のための資金を温存しておくことだが、実現するためには議員たちの助けが必要になる」とエストベリは話しました。
デリバリーヒーローの売上
デリバリーヒーローは、年初来の3ヶ月間で14億ユーロの売上を計上し、2021年の通年の売上が昨年の2倍以上の61億ユーロ(約8000億円)以上に達すると見込んでいます。
フードデリバリーの需要は、パンデミック後に急増しましたが、同社の業績はこの需要が今後も継続することを示唆しています。
デリバリーヒーローは、本業のフードデリバリーだけでなく、次世代のeコマースであるクイックコマース(Qコマース)の事業も拡大しています。
ワクチンの接種が進み、日常生活が戻ってきても、パンデミック時に急増したデリバリー需要はそれほど減らないだろうとエストベリは語ります。
アジアの展開
同社はここ最近、特に日本と韓国への投資を活発化させており、昨年は日本でサービスを開始したほか、3月には「フードネコ」の親会社の韓国企業ウーワ(Woowa)社の40億ドル規模の買収手続きを完了させました。
「当社は、ラオスからスウェーデンまでのすべての人々に便利なデリバリーサービスを提供し、生鮮食料品を含むあらゆるアイテムを届けていく」と、エストベリは話しました。
彼は、ウーワを買収して以降、さらなる大型買収は考えていないが、特定のスキルを持つ小規模な企業の買収には前向きだと述べている。
「世界には特定の領域に特化した優れたソリューションを持つ企業が存在する。当社の顧客基盤やリソースと、彼らのスキルを組み合わせれば、そのテクノロジーを拡張できるかもしれない」と、エストベリは語りました。