2021年9月15日、ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長が自社のイベントで講演し、労働力の減少が避けられない日本経済を支えるには、AI(人工知能)を搭載したスマートロボットにより、生産性を向上させることが必須だと主張した。
この記事でいう「スマボ」は、孫会長が発したスマートロボットの造語。自動車メーカーボルボが「スマートにボルボに乗れる」をコンセプトに開発したサブスクリプションサービス「SMAVO(スマボ)」ではない。
孫会長は、日本の生産性が低い要因のひとつは、企業のハイテク技術導入が遅れていることにあるという。
「スマボの生産性は人間の3.5倍。労働時間も3倍となり、掛け合わせると10倍の競争力を持つことができる。日本に1億台導入すれば、労働人口10億人の国に生まれ変わる」と話した。
ソフトバンクグループ(SBG)は自ら運用するビジョンファンドを通じて、関連企業18社へ投資しており、この18社の関連企業を通して「スマボ」を普及させていく方針を表明した。
ソフトバンクグループ(SBG)では現在、「ビジョン・ファンド1号」と「ビジョン・ファンド2号」、「ラテンアメリカファンド」の3本を通じてAI企業301社に投資している。
孫社長は、「世界の未上場AI企業の資本調達額の1割を提供している」ことを明らかにした上で、AI関連投資の資本家として「圧倒的ナンバーワン」だと述べた。
同社長によれば、投資を通じて「18社のスマボ企業集団をつくった」といい、この中にはアジャイルロボッツやキーンオンロボティクスなどが含まれる。
講演では、二足歩行で走ったり飛んだりできる高機能ロボを開発する米「ボストン・ダイナミクス」、AIを搭載して工場の製造ラインなどでより精緻な動きを実現する独中「アジャイル・ロボッツ」などを紹介した。
孫会長は、従来のロボットをガラケーに対比させて「ガラボ」と名付け、事前に下した命令の通りに動くだけであるとする。
一方の「スマボ」は、AIで学習することで臨機応変な対応が可能になると説明した。
アップルのiPhoneの登場で、世界の人のライフスタイルが一瞬で変わった。スマホが世界を変えたように、『スマボ』はロボットの世界を一瞬で塗り替えると予測した。